仏教一般
サールナートの部材(5世紀頃)
仏教一般
■ 石飛道子 著
古代インド論理学の研究 ─ブッダ・龍樹・ニヤーヤ学派─
「実在論的立場」からインド論理学を確立したニヤーヤ学派に対し、「空の論理」によって激しい論争を繰り広げた龍樹は、いかにして、ゴータマ・ブッダの「争いなき立場(無諍処)」を実現したのか? 本書は、永年「ブッダの論理」を探求してきた著者の研究成果を集成し、古代インド論理学について新たな展望を開く、ブッダ、龍樹、インド哲学に関心を持つ読者待望の一冊!
【著者紹介】石飛道子:元札幌大谷大学特任教授
A5判上製464頁 定価10, 560円(税込)
ISBN978-4-907022-28-0
【目 次】
はじめに
従来の研究の展望と本書の方法論
第1章 ゴータマ・ブッダ─「一切」を語ることば─
「空性」とは何か?
『スッタニパータ』第5章「彼岸道品」における「アジタ学人の問い」
第2章 ニヤーヤ学派─インド論理学の確立─
論理学書としての『ニヤーヤ・バーシャ』
ニヤーヤ学派の知覚論
ヴァーツヤーヤナの論理的立場
論証された神
ウッディヨータカラの命題論理学
ウッディヨータカラと有神論批判
第3章 龍樹とニヤーヤ学派─『方便心論』の世界─
龍樹とインド論理学の誕生
『方便心論』の作者について
仏教とニヤーヤ学派の論争をめぐって
インド論理学史における『方便心論』の反論理学
「六句論議」と「似因」をめぐる問題
第4章 龍樹著作の研究─論法の問題を中心に─
『大智度論』における四悉檀説
『百論』と『大智度論』の関係
『十二門論』における論法の用語をめぐって
『十二門論』「観性門」の偈と『中論頌』第13章第3偈をめぐって
結論にかえて
あとがき
■ 宮崎展昌 訳
蔵文和訳 阿闍世王経
「父王殺しの悪人」阿闍世王の苦悩の、空観による救いを説く『阿闍世王経』。釈迦、文殊、阿闍世王を中心とするドラマティックな構成で語られる初期大乗経典を、最新の文献学的成果を踏まえて、インド原典の面影を伝えるチベット訳から、詳細な註と共に平易に全訳。「大乗経典研究のモデルケース」を提示する。
【訳者紹介】宮崎展昌:鶴見大学仏教文化研究所専任研究員(准教授)
A5判上製388頁 定価8, 910円(税込)
ISBN978-4-907022-27-3
【目 次】
はじめに
解 題
蔵訳『阿闍世王経』訳注研究
あとがき
〈阿闍世王経〉諸本対照表
■ 加納和雄 訳
蔵文和訳 大乗アングリマーラ経
初期仏典に説かれる「改心した悪人」アングリマーラの物語を、大乗仏教の立場から大胆に読み替え、衆生が成仏できる可能性=如来蔵をドラマティックに説く経典を、チベット訳から全訳。解題では本経への最新の研究成果を詳述しつつ、仏教内外を含めた「インド世界における本経の位置」を問い直し、如来蔵思想研究に新たな展望を開く。
【訳者紹介】加納和雄:駒澤大学仏教学部准教授
A5判上製516頁/口絵4頁 定価12, 100円(税込)
ISBN978-4-907022-30-3
【目 次】
はしがき
解 題
第1章 書誌と内容概観
第2章 物語のモチーフをたずねて
第3章 物語の「種明かし」
第4章 如来蔵思想
第5章 読者の射程
第6章 漢訳と5~6世紀の状況
第7章 チベット訳と9世紀以降の展開
和 訳
資 料
あとがき
■ 中御門敬教 著
普賢行と浄土思想
厖大・絢爛たる『華厳経』の掉尾を飾る『普賢行願讃』。そこに説かれる大乗菩薩の広大な誓願を、初期大乗の先駆経典と、インド・チベットの諸注より解明し、「浄土の菩薩の利他行」への展開を探る。『普賢行願讃』以下、二つの先駆経典、陳那(ディグナーガ)、釈友(シャーキャミトラ)、智軍(イェシェデ)の三注の全訳を収録した、貴重な成果。
【著者紹介】中御門敬教:東海学園大学人文学部教授
A5判上製800頁 定価17, 820円(税込)
ISBN978-4-907022-29-7
【目 次】
はじめに
序 論
第1部 インド篇
第1章 大乗戒経に見る発心儀礼
(『舎利弗悔過経』『三曼陀跋陀羅菩薩経』の解題と全訳)
第2章 『文殊師利仏土厳浄経』に見る誓願
(本経の解題・諸本対照表と、普覆王誓願の抄訳)
第3章 『華厳経』に見る普賢行
第4章 『普賢行願讃』に見る普賢行
(『普賢行願讃』を含む陳那釈/釈友釈の解題と全訳)
第5章 論書に見る普賢行
第6章 極楽往生後の利他行としての普賢行
第2部 チベット篇
第1章 チベットにおける普賢行と浄土教
(智軍釈の解題と全訳)
あとがき
■ 横山 剛 著
チャンドラキールティ『中観五蘊論』の研究
―説一切有部アビダルマ教学からのアプローチ―
中観派の巨匠チャンドラキールティ作とされるアビダルマ論書『中観五蘊論』。本書は、その内容を説一切有部の教学の展開に位置付けつつ、自性の否定など、随所にチャンドラキールティの特徴を持つことを指摘して、「チャンドラキールティ真撰」を論じ、また、アビダルマにおける「五蘊」の意味を問い直した画期的な研究書である。後半にはチベット訳校訂テキストを付す。
【著者紹介】横山 剛:筑波大学人文社会系助教
A5判上製432頁 定価10,120円(税込)
ISBN978-4-907022-31-0
【目 次】
はじめに
第一部 思想研究
『中観五蘊論』に関する基本事項の確認
1. なぜ〈五蘊〉なのか
2. 法体系の諸相
3. 自性の否定
4. 著者問題
5. 後代への影響
思想研究のまとめ
第二部 テキスト研究
チベット語訳 校訂テキスト
資 料
あとがき
■ 佐々木一憲 訳
全訳 シャーンティデーヴァ 学処集成
名著『入菩提行論』で知られるシャーンティデーヴァ(7〜8世紀)が、各種の大乗経典からの引用によって、菩薩道の精髄を示したもう一つの主著を、サンスクリット原典から全訳。チベット仏教の「道次第(ラムリム)」にも大きな影響を与えた古典の全貌を、最新の研究成果を踏まえて提示する、待望の一冊!
【訳者紹介】佐々木一憲:立正大学法華経文化研究所特別所員
A5判上製564頁 定価12, 980円(税込)
ISBN978-4-907022-26-6
【目 次】
はじめに
解題
シャーンティデーヴァ 学処集成
本頌27偈の梵和対訳
全19章の訳注
あとがき
引用経典一覧
■ クンチョック・シタル / 奥山 裕 訳
全訳 ツォンカパ 中論註『正理の海』
仏教の核心「縁起と空」を明らかにした、ナーガールジュナの『中論』を、チベット仏教ゲルク派の祖が、インド諸註の膨大な蓄積を踏まえて、詳細かつ明快に解明した大著を、わかりやすく全訳。『中論』偈頌は、チベット訳と和訳を対照。巻末には、ツォンカパが求道の転機に、縁起を説いた釈尊を讃えて歌いあげた『縁起讃』を付す。
【訳者紹介】クンチョック・シタル:チベット仏教普及協会副会長 / 奥山裕:同会員
A5判上製912頁 定価17, 600円(税込)
ISBN978-4-907022-06-8
【目 次】
はじめに
科 文
『般若と呼ばれる根本中論頌』の解説─正理の海─
序 論
書名 / 帰敬序
全27章の解説
結 論
縁起讃
あとがき
■ 現銀谷史明 / ガワン・ウースン・ゴンタ 訳
全訳 ダライ・ラマ1世 倶舎論註『解脱道解明』
仏教の人間観・世界観を詳細に説き、「仏教の基礎学」として北伝仏教で広く親しまれた『倶舎論』。本書は、ダライ・ラマ1 世ゲンドゥンドゥプ(1391-1474)が、インド・チベットの諸註を踏まえて、その全偈頌を明快に解説した格好の「倶舎論入門」である。序論ではチベットにおける『倶舎論』伝承史も詳説。
【訳者紹介】現銀谷史明:東洋大学東洋学研究所客員研究員 / ガワン・ウースン・ゴンタ:チベット仏教普及協会講師
A5判上製640頁 定価14, 080円(税込)
ISBN978-4-907022-12-9
【目 次】
序 論
倶舎論註『解脱道解明』
第一章 界 品
第二章 根 品
第三章 世間品
第四章 業 品
第五章 随眠品
第六章 賢聖品
第七章 智 品
第八章 定 品
結 語
あとがき